簿記を初めて勉強するのですが、借方貸方の意味がよくわかりません。そもそも、借方貸方って、何を意味しているのでしょうか?
貸方借方ってなに?
まずは、貸方・借方の結論です
複式簿記で言う借方は左側、貸方は右側を指します(これだけ)
取引の二面性
複式簿記における貸方と借方の概念は、会計の基礎を形成する重要な要素です。これらは取引の二面性、つまり経済活動が資産、負債、または所有者の資本に与える影響を記録するものです。簡単に言うと、何かが増えると何かが減るといったことです。すべての取引は少なくとも二つの異なる勘定科目に影響を与えると考えられています。これが取引の二面性の原則です。
例えば、ある企業が商品を販売して現金を受け取った場合、この取引は二つの経済的効果を生み出します。一つは資産の増加(現金の受け取り)、もう一つは収益の増加(商品の販売)です。この取引を複式簿記で記録するには、現金の増加を借方に、商品の販売による収益の増加を貸方に記入します。
つまり、簿記は取引の二面性を横に並べ、それぞれの勘定科目の増加減少を表しています。
一応覚え方としては
覚え方としては、以下の通りになります。
わざわざ、平仮名をイメージしないと思い出せないというのも問題かもしれませんね。
貸方・借方を銀行通帳を例に説明します
簿記の「貸方」と「借方」を、銀行の通帳を例にして説明しますね。
まず、銀行預金の通帳は入金があれば左側、出金があれば右側に金額が記載されます。このように、左右はプラスとマイナスとなっています。
銀行の通帳を例にした貸方と借方
借方(Debit)
銀行の通帳で「借方」は、あなたの口座にお金が入ってくる場合を指します。例えば、給料が振り込まれた場合や、誰かからの送金があった場合です。通帳には「入金」として記載されます。
借方:現金(資産の増加)
貸方:売上(収益の増加)
貸方(Credit)
一方、「貸方」は、あなたの口座からお金が出ていく場合を指します。例えば、家賃の支払い、買い物の支払い、ATMでの引き出しなどです。通帳には「出金」として記載されます。
借方:家賃(費用の増加)
貸方:現金(資産の減少)
具体的な仕訳例
例えば、家賃を10万円支払った場合の仕訳は以下のようになります:
(借方)家賃 100,000円/(貸方)現金 100,000円
借方:家賃 100,000円(費用の増加)
貸方:現金 100,000円(資産の減少)
このように、銀行の通帳を使って「貸方」と「借方」を理解すると、簿記の基本的な概念がよりわかりやすくなります。
貸方借方の意味は覚えなくていい
覚えなくても簿記は解ける
実は、この貸方借方を覚えなくても、簿記は問題を解いたり、解答したりできます。
私も、税理士試験を合格するところまで簿記をやり尽くしましたが、貸方借方を必要だと思ったのは、実務として簿記を使うようになってからになります。しかも、会社によってかもしれませんが、貸方借方は、言葉も似ていて混乱しやすいということもあり、貸方借方ではなくて、コード名で日常会話をしていました。
なぜ、貸方借方を覚えなくても簿記は解けるのかと言いますと、仕訳を切る問題はあっても、貸方借方を問う問題は無いからです。
覚えなくていい理由
「え?」と思う人もいるかも知れませんが、例えばみなさんが卓球をやる時に、玉が左に飛んできたものを、左という言葉で認識して、バックハンドで左に出しますでしょうか?また、野球をやっている人が、内角に投げられたボールを、内角という言葉に変換して、内角を打つためのバットを出しますでしょうか?
簿記に戻しますと、現金は資産に該当しますので、残高があるときの定位置は左側である「借方」ですよね。つまり、増やす場合には借方に現金と書いて仕訳を切り、減らす時には貸方に現金と書いて仕訳を切ります。
増やすとき
現 金 ◯◯◯/★★★★ ◯◯◯
減らすとき
★★★★ ◯◯◯/現 金 ◯◯◯
★★★★は勘定科目です
そうすると、最も簡単にした場合に、考える順番としてはこのように考えているのではないでしょうか?
現金が増える → 現金を左(借方)に書く
ですが、貸方借方を加えてしまうと脳内では
現金が増える → 現金は借方 → 増加は借方 → 現金を左に書く
どっちが簡単かというのは、一目瞭然で上の方ですよね。
簿記の理解が早い人は、脳内の変換する要素を減らして、シンプルにして答えを出していると思います。(私ももちろんそうです)
大事なのは、勘定科目の定位置
そうすると、現金は借方の左が定位置とか、買掛金は貸方の右が定位置ということがわかると、貸方借方という言葉を覚えなくても、問題は簡単に解けるようになってきます。
というか、逆に覚えなくて位置関係を理解して、答えを出すようにしたほうがシンプルかつ正確な答えが出せるのではと思います。
勘定科目の定位置は、また別でご説明いたします。
実務では使うことも
簿記3級の試験では、問題に記載のある情報を処理して、仕訳を切ったり決算処理をしたりしますので、貸方借方を覚えず上記に記載の通り問題を解くことができます。
ですが、実務上では自分が行った仕訳の説明や、逆に説明された処理を聞く場合のコミニュケーションや情報伝達として、貸方借方を使う場合もあります。(私の努めていた会社では、情報伝達でもコードで説明していましたので問題はありませんでしたが)
そうすると、最終的に実務で使って説明をしたり、説明を聞いたりする場合には必要になりますが、まずは試験でしっかり仕訳が切れるようになってからでも遅くは無いと思います。
そもそも、貸方借方ってなにでしょうか?どういうところから、この名前がついたのでしょうか?
簿記は外国から
そもそも、簿記は日本で発明されたものではなく、いわゆる「舶来物」になります。最初に日本に伝えたのは、福沢諭吉さんで、1873年(明治6年)に出版した『帳合の法』が初めと言われています。
そうすると、もともと貸方借方は英語だったと思います。現在においても英語で表すと、借方は「debit(引き落とし)」貸方は「credit(信用)」となります。
余計に分からなくなってしまったかもしれませんが、一説によりますと、借方は「借りている人の名前」が書いてあったので借方つまり、債務者の名前が記載されていたとのことなので、それ自身は「債権」。貸方は「貸している人の名前」が書いてあるので貸方つまり、債権者の名前が書いてあるので、貸方としていたようです。そのイメージで貸借対照表を作ると
借方貸方にしてほしい
そもそも、貸方借方で、左右が逆になっているところが覚えにくくしている原因だと思います。
この順番になってしまった理由は不明になりますし、貸方の方が債権っぽいですし、借方の方が債務っぽいので、混乱させることを意図しているのではとも思ってしまうぐらいです。
まとめ
この、貸方借方問題をクリアすれば、問題に集中することができますので、イージーミスも減ることが期待できます。また覚えることを少なくすることによって、勉強時間の短縮も期待できます。
独学で勉強する場合には、シンプルに覚えて、確実に処理することが大事です。これにより、周りの人より一歩でも前に進めれば、合格に近づくと思います。
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