「費用収益対応の原則」は簿記3級の勉強で有用

費用収益対応 原則

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簿記の勉強を進めていくと、「そもそも、何故こんな処理をするの?」という疑問にぶち当たります。

それは、「サッカーは手を使ってはいけない」という根本的なルールに似ていて、聞いても、しっかり説明をしてもらえずに、「そういうもんだ」とか「深く考える前に覚えたほうが良い」ということを言われて、手が止まってしまうこともあります。

簿記3級の試験範囲では、会計学は試験範囲ではありませんが、簿記の根底にある考え方を知ることによって、簿記の勉強をスムーズに進めることができると思います。

そのなかで、知っておいたほうが良い基本原則として「費用収益対応の原則」があります。

企業会計原則って?

費用収益対応の原則は、企業会計原則の中に定められています。

企業会計原則は、一般に公正妥当な企業会計の慣行を要約したものです。 一般原則、損益計算書原則、貸借対照表原則の3つから構成されています。

企業会計原則より


企業会計原則というものは、法律のような強制力はないものの、会計に関わる法律などがこの企業会計原則に基づいて作成されていますので、結果この企業会計原則に従って簿記の処理を進めていくことになります。

この費用収益対応の原則は、企業会計原則の損益計算書原則の中に規定がある原則です。(このあたりは軽く流してもらってもいいですが)

では、この「費用収益対応の原則」はどういうものでしょうか?

目次

費用収益対応の原則とは

費用収益対応の原則を簡単に説明しますと、「費用として計上できるものは、収益に対応するものだけ」ってことになります。

たとえば、仕入れた商品を売ったとします。収益としては商品の売上を計上することとなりますが、費用つまり、仕入れた商品はどの様になるのでしょうか?
この場合、売れた商品に対応する仕入れの金額だけが費用とすることができます。
図解で示しますと

費用収益対応 図解

この場合、3個のリンゴを売り上げているので、費用とできるのはリンゴ3個分の仕入れの金額になりますので、単価60円✕3個=180円となります。

たまに「仕入れにお金を使っているので、その金額全てを費用にすればいいじゃん!」と考える人もいるかと思いますが、この費用収益対応の原則からすると、売れ残って翌期に繰り越す商品は、収益に対応した費用ではないという理由で、費用にならず、翌期に繰り越されます。

簿記を勉強する際にでてくる「しーくりくりしー」って、収益に対応する費用を算出するための仕訳で、これをしないと、費用と収益の対応ができなくなってしまいます。

しーくりくりしーはこちらから

費用収益対応の原則では、個別的対応と期間的対応の2種類があります。

個別的対応

個別的対応とは、商品などの売上高と、それに対応する売上原価のように、対応関係が明確なものをいいます。

期間的対応

期間的対応とは、個別的対応は把握しにくいが、期間をもとに、その期間に発生した費用と同じ期間の収益を対応させるものです。

たとえば、商品を販売するための店舗で使った電気代などがそれに該当します。電気代は、売れた商品に直接対応できませんよね。商品が売れても売れなくても、お店を開けている以上は電気代はかかってきます。

例えば、電気代がかかっていて、決算期末にまだ払っていない場合には、その未払い分を費用として計上したりします。こうやって期間に対応させていきます。

決算整理で処理することが多い

このように、費用と収益は対応関係にありますので、その調整をするために決算整理を行います。「しーくりくりしー」や未払計上等を行うことによって、企業会計原則に準拠した財務諸表を作成し、それを見た人が間違った判断をしないような仕組みになっています。

まとめ

この「費用収益対応の原則」は知らなくても十分に簿記3級の問題は解けます。

ですが、「そもそも、なぜ決算で処理をしているのか」とか、「こんな面倒なことをする必要があるのか」と言った疑問を抱いているのであれば、費用収益対応の原則を理解しておく必要があります

覚える必要は無いものの、筋の通った考え方として費用収益対応の原則があって、その原則に基づいた処理であり、それに従うことによって、財務諸表を見た人が混乱の回避や、間違った判断の防止に繋がってきます。

ということで、暗記する必要はありませんが、費用は収益に対応したものだけを計上すると理解しておきましょう。

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この記事を書いた人

アラフィフで非経理のサラリーマンです。
私は高校の時に簿記を勉強してた時に、「簿記って面白い」と感じて、専門学校に進学し、簿記1級を合格。卒業後は一般企業に就職しますが、税理士の資格を最終的にとることができました。

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